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STUPIDITY (Dr. FEELGOOD)

b0002910_13362913.jpgVarious Review vol. 24
「殺人病棟」 ドクター・フィールグッド
"STUPIDITY" Dr.FEELGOOD

1976年発表作品
TOSHIBA EMI TOCP-65075

リー・ブリロー(Vo)、ウィルコ・ジョンソン(G)、ジョン・B・スパークス(B)、ザ・ビッグ・フィガージョン・マーチン Ds)の4人が'71年に立ち上げたドクター・フィールグッドは、パブでの演奏を重ねて腕を磨き、'75年「ダウン・バイ・ザ・ジェッティー Down By The Jetty」 でレコード・デビュー。
一発録りでモノラルという彼ら独自の個性的なサウンド・スタイルが話題を呼び、フィールグッズは表舞台に躍り出た。
狂気的なたたずまいと、野太く無骨なヴォーカルで強烈なフロントマンを務めるブリロー、ピックを使わず、爪によるカッティングという独特のプレイスタイルでハードエッジなサウンドをぶちかますジョンソン、「イギリスの佐藤蛾二郎」スパークス、低くしつらえたワンタム・セッティングの奥に巨体をそびえ立たせ、スピードとパワーで押しまくるビッグ・フィガー。
この4人によるユニットはその後長く、パブ・ロックの大人気グループとして'70年代のイギリス・ロックシーンに君臨することとなる。
ジョンソンの師匠であるミック・グリーンは、フィールグッズの活躍に背中を押されるようにしてザ・パイレーツを再結成したし、エルヴィス・コステロイアン・デューリーダムドヒューイ・ルイスのいたクローヴァーなど、この時代にはパブ・ロックと呼ばれるジャンルの、イキのいい連中がシノギを削っていたのだ。

本作は、前半7曲が'75年5月のシェフィールド・シティ・ホール、後半6曲は同11月のサウスエンド・カーサルでレコーディングされたライヴ盤。
アナログではそれぞれが「シェフィールド・サイド」、「サウスエンド・サイド」と表記されていた。
サウンド・プロデュースはバンド自身。
エンジニアとして後にモーターヘッド"ACE OF SPADES"などを手がけるヴィック・メイルがクレジットされている。
オープニングに配置されたチャック・ベリー・ナンバーの"Talkin' 'bout You"は、ベリーのオリジナルともストーンズのルーズなブルーズ・ヴァージョンとも違う、彼ら特有の脂臭さをみっちり詰め込んだダーティなサウンドだ。
また⑥ではストーンズもカヴァーしたルーファス・トーマス作の"Walking The Dog"をプレイしている。
オリジナル曲は「ダウン・バイ・ザ・ジェッティー」 から5曲、セカンド・アルバム「不正療法」から2曲。
いずれのナンバーも、フィールグッズらしいアクの強い演奏、サウンドで固められている。
"All Through The City""She Does It Right""Roxette"も荒っぽくて脂っこい、彼らならではのゴキゲンなサウンドだ。

あまた存在したパブ・ロック・バンドの中でアタマひとつ抜きん出た存在だったドクター・フィールグッドだったが、4作目"Sneakin' Suspicion"の発表直前にジョンソンが脱退
その後、ジョンソン抜きで長らく活動したものの、'94年4月8日、フロントマンとしてバンドを支えてきたブリロー喉頭ガンでこの世を去り、オリジナル・フィールグッズは終わりを迎える。
現在ドクター・フィールグッドというバンドは、オリジナル・メンバーが一人も残っていないにもかかわらず現役で活躍中である。

Dr. Feelgood Official Site
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by FHIROSE2 | 2004-08-21 13:43 | Music Man's music | Trackback | Comments(3)

Kamikaze

ニッポン柔道は最終日、男子100kg超級の決勝で鈴木桂治(平成管財)がタメルトラン・トメノフ(ロシア)に一本勝ち。
女子78kg超級の塚田真希(綜合警備保障)もダイマ・ベルトラン(キューバ)を一本勝ちで破り、女子最重量級では初の金メダルを獲得。
柔道の金は計8個。(1大会最多を更新)
水泳では、柴田亜衣(鹿屋体大)が女子800m自由形で金メダル。
(日本女子の自由形でのメダル獲得は五輪史上初めて)

今朝の朝日新聞に興味深い分析記事が載っていた。
「個人強化と支援結実」と題されたこの記事は総合面(2面)に載っているが、どうもasahi.comにはアップされていないようだ。
「躍進の背景には力のある選手が自分の支援体制を作り上げ、競技に専念できるようになったことをはじめ、日本スポーツ界の変化がある。」という書き出しで始まるこの記事の要点をかいつまんでご紹介すると。

1.個人の強化チーム作り
2.国際競技の運営面が日本有利の流れになりつつあること

の2点が今回の日本の躍進につながっている、というのが論旨だ。

1.については
練習相手らの分も合わせて総額1,000万円に上る渡航費をトヨタ自動車が気前良く負担したという柔道の谷亮子や、泳ぎを映像分析するスタッフ、体調管理のトレーナー、はり・きゅうトレーナーなど「チーム北島」と呼ばれる大勢のスタッフに支えられた水泳の北島康介らを引き合いに出し、「従来は各競技団体代表の中で強化が図られてきたが、その枠を超えて個人の強化チームを作り始めた」ことが成果につながっていると指摘する。
またそれを財政的に裏付ける術として、一部の「特別認定選手」については従来の肖像権JOC一括管理のスポーツ・マーケティングから一部外れて、独自のCM出演等で資金を獲得することが可能になったともある。

2.については
シドニー五輪の誤審への反省から審判レベルの向上に努めた国際柔道連盟や、'90年代半ばに採点の指針が変更され、それが現場にきちんと浸透してきた体操の例を挙げ、
「正確なジャッジ、不正柔道着への厳しい対応等が日本人選手が本来持っている力を引き出した」
「まじめで几帳面な性格の日本人選手の持ち味が評価されやすくなった」
と結論付けている。

結構なことだ。
1.に関しては「そんなん、当たり前ちゃうん?」とコテコテに突っ込みたいぐらいだ。
「金」「金」(カネじゃなくてキンね)と騒ぐ割には、選手への報いが少ない、強化方法も前時代的・・・、というのが日本スポーツ界の特色であり、伝統でもあった。
諸外国が莫大な費用をつぎ込んで、自国のアスリートを育成しているのを見ながら、中途半端なアマチュアリズム(というよりシブチン)で勝てるわけはない。
躍進のいちばんの原動力が各選手のたゆまぬ精進であることは疑う余地はない。
しかし、ただ「ガンバレ、ガンバレ」とはやし立てるだけでは成果の出しようもない。
今回の五輪は、今後日本のスポーツ界がさらに近代化、勝てる国際選手の輩出を続けられるかどうかの試金石だ。
(ただ、実は今まで金メダルを獲得した各競技の選手の大半は「特別認定選手」などではないアスリートたちなのだ、ということは覚えておく必要があろう。)

あ、女子ソフトボール決勝トーナメント進出!
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by FHIROSE2 | 2004-08-21 08:37 | Trackback(1) | Comments(0)

明と暗

昨日の柔道はまさに「明と暗」

女子78kg級の阿武教子は、3度目のオリンピック挑戦で初の金メダル
世界選手権で4連覇を達成していながら、五輪ではなかなか勝てなかった彼女が、ついに悲願を達成したのだ。
今大会の柔道は、初日にヤワラちゃんこと谷 亮子(女子48kg級)、野村忠宏(男子60kg級)のアベック金で盛り上がり、以降、内柴正人(男子66kg級)横沢由貴(女子52kg級)谷本歩実(女子 63kg級)上野雅恵(女子69kg級)泉 浩(男子90kg級)と順調にメダルを獲得してきた。
阿武の歓喜する姿は、「感動をありがとう」なんてチンケなキャッチコピーを押し付けられなくとも、十分にその意味を伝えてくれる。

その裏で、男子100㎏級の井上康生は、4回戦でファンデルヘースト(オランダ)にまさかの一本負け
五輪、世界選手権を通じて初の敗戦を喫し、姿を消した。

店主はべつだん柔道ファンではない。
格闘技は全般的に好きだが、柔道自体をたんねんにウォッチしているわけではないのだ。
ただ(思い込みかもしれないが)、4年に1度のオリンピックという大舞台で、日本人選手がもっとも日本人らしく、勇ましく、雄雄しく(女子にこのフレーズを使うのはヘンだが)輝いて見える競技は柔道を置いて他にない、と固く信じている。
だから大好きな野球、水泳、個人的に応援している女子ソフトボール、サッカーの山本ジャパン、なでしこジャパン、メグカナの女子バレーボールと気になる競技は山ほどある中で、とりわけ柔道はできる限り真剣に観ていた。

しかし昨日の柔道ほど、勝者と敗者のコントラストを容赦なく見せつけてくれた競技は今のところまだない。

4年前のシドニー五輪では、篠原信一が決勝でミス・ジャッジによって金メダルを逃し、大粒の涙を流した。
彼は悲運のヒーローになった。
今回の井上は、決勝進出は当然と誰しも(本人も)が思っていたにも関わらず、銅メダルにさえも届かない位置で戦いを終えてしまい(敗者復活戦でも敗れた)、華やかな話題が続く日本柔道の中で、ヒーローになり損ねてしまった。

井上は悲運であったのだろうか。
それともちがう表現をしてあげなければいけないのだろうか。
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by FHIROSE2 | 2004-08-20 07:03 | Trackback(4) | Comments(3)

ブログ病

昨日(ほぼ泥酔状態で)書き込みしてから、本日はまだ何も書き込んでいなかったにもかかわらず、本日47人ものご来訪を得た。
(会社でも、昼休みに来訪者の数を確認したりしている。 やだね、まるでネット初心者みたい)

ありがたい限りである。
面白いことを書こうとあれこれ頭をめぐらせた記憶はあまりない。
というよりほとんどない。
真剣に書いているのは、好きなアーティスト、レコードについて書く"Various Review"ぐらい。
あとは、正直言って

「酔っ払いのたわごと」
「酔っ払いの愚痴」
「酔っ払いの絡み酒」
「酔っ払いが酔っ払ってる状態を単に描写しているだけ」

のいずれかです。

そもそも最初に選んだブログがエキサイトのそれでよかったのかも知れません。
環境は快適。
趣味の合う皆さんのコンテンツがいっぱい楽しめる。
どだい(会社では)嫌われ者の店主にとっては、ネット世界こそが、お仲間を見つけるいちばん手っ取り早い、お手軽な方法なわけさ。(暗いな・・・)
このブログのエキサイト・ブログに並べさせていただいた皆様、本当にありがとう。
リンクを貼っていただいた皆様、本当にありがとう。
心からありがとう。

キンタマのシワ、ありがとう。
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by FHIROSE2 | 2004-08-19 23:10 | Trackback | Comments(0)

エキサイト

朝起きたら、いきなり「サーバー停止」のお知らせ。
メールも何も来ていない。
困っちゃうんだよな。
このブログを生活の物差しのひとつにしている身としては・・・。

いくら無料サービスとは言え、事前にお知らせぐらいしておいて欲しい。
アクセス数を確認するのだけが楽しみなんだから。(ウソ)



日本の野球、オーストラリアに苦戦してますね。

今日は最悪の一日でした。
いつも一緒に帰ってる可愛いナオちんは山ほどの残業で一緒に帰れず。
自分の仕事もボロボロで、傷心のまま帰宅いたしました。
冷たいビールと、妻の手による美味しい鶏のから揚げが心を癒します。

最後になりましたが、遅ればせながら

クロベエ、Forever!
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by FHIROSE2 | 2004-08-18 21:03 | Trackback | Comments(2)

個人技

見るとはなしに、オリンピック中継を観ている。
ハッキリ言って競技以外のアナウンサー、タレント(松岡修三!おまえは食いモン番組やっとれ!)はジャマの極みだ。

素人なりの感想としては、個人技(柔道、水泳等)が健闘。
野球以外の団体競技(ホッケー、サッカー男女、ソフトボール)は軒並み不振だね。
(男子体操は、表彰対象としては「団体」だけど、個人競技に違いない。)

やはり、天才、凡才織り交ぜた団体競技より、頂点に立つ個人の争いの方が有利なのだろうか。
個人競技は孤独な分、栄誉も屈辱もすべて「自分」に降りかかってくる。
団体競技はそうはいかない。
モチベーション、根性(キライな言葉だけど)、志・・・。
そういうものは十人十色。
誰か一人の責任にできないもんね。

個人競技だったらその本人の責任だが、団体競技(チームプレイ)の場合、実際闘う選手のみならず「指揮官」の責任も問われる。
難しいな・・・。
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by FHIROSE2 | 2004-08-17 22:56 | Trackback | Comments(2)

LIVE KILLERS (QUEEN)

b0002910_124948100.jpgVarious Review vol. 23
「ライヴ・キラーズ」 クィーン
"LIVE KILLERS" QUEEN

1979年発表作品
HOLLYWOOD RECORDS HR-61066-2
クィーンが'70年代の最後に、それまでのキャリアを総括するような形で発表した2枚組ライヴ盤。
デビュー・アルバム"QUEEN"「戦慄の王女」収録曲からこの時点での最新スタジオ・アルバム"JAZZ"「ジャズ」収録曲まで、'70年代のヒット曲・人気ナンバーを惜しげもなくセレクトした贅沢な一品だ。
1979年6月のリリースで、その年の1月~3月にかけて行われたヨーロッパ・ツアーで収録されており、同時期に行われた3度目の日本公演と似た選曲になっている。
収録曲は、Disk1⑬が"QUEEN"(1973)、Disk1④⑨,Disk2③が"SHEER HEART ATTACK"(1974)、Disk1③⑥⑧⑪⑫,Disk2④⑨が"A NIGHT AT THE OPERA"(1975)、Disk2⑤が"A DAY AT THE RACE"(1976)、Disk1①⑦,Disk2②⑥⑦⑧が"NEWS OF THE WORLD"(1977)、Disk1②⑤⑩,Disk2①が"JAZZ"(1978)と、1974年のセカンド・アルバム"QUEEN Ⅱ"以外からまんべんなくチョイスされている。
オープニングのDisk1①では雷鳴のSEに続いて、アップテンポにアレンジされた"We Will Rock You"でのっけから観客席は大爆発。
たたみ掛けるように演奏されるDisk1②の"Let Me Entertain You"で早くも最初のピークが訪れる。
③の"Death On Two Legs"から⑦の"Get Down Make Love"まではメドレーになっており、コンパクトにアレンジされた人気ナンバーが立て続けに演奏される。
Disk1⑧は、アナログ・レコードではA面ラストに位置していた"You're My Best Friend"
Disk1の後半はアナログ盤ではB面。
スケールの大きいロック・ナンバー⑨"Now I'm Here"と⑬"Keep Yourself Alive"が、⑩~⑫のアコースティック・コーナーをはさむ形で構成されている。
Disk2に移行すると、もうそこはクィーンの大ヒットパレード大会。
④の"Bohemian Rhapsody"は"JAZZ"収録の"Mustapha"のメロディをオープニングにあしらったサービス・ヴァージョン。
オープニングでアップテンポに演奏された⑦"We Will Rock You"が正調「ドン・ドン・チャッ」ヴァージョンで演奏されている。
"NEWS OF THE WORLD"からの大ヒット曲"We Are The Champions"で荘厳なラストを飾り、"God Save The Queen"が流れる中、コンサートは終わりを告げる。

このライヴ・アルバム発表後'80年代に突入すると、クィーンは従来のハード・ロック/オペラティックなシンフォニック・ロックの世界から、よりポップコンテンポラリーなサウンド作りを軸に大胆に方針を転換。
結果的に、本盤はライヴ・ショーとしてのみならず、この時点でのベスト・アルバムとしても楽しめる。

この後1986年に発表された"LIVE MAGIC"、そして"LIVE MAGIC"に部分的に収録された'86年7月のウェンブリー・スタジアムでのライヴの完全版"LIVE AT WEMBLEY '86"がクイーンの残したライヴ作品3部作である。
演奏に関しては、スタジオ録音の完成度を期待するのは間違いであるが、その代わりにフレディ・マーキュリーの芸人魂を軸にした、一切の出し惜しみのないエンターテインメントが満喫できる。

1991年11月24日、エイズによる気管支肺炎でフレディ・マーキュリーがこの世を去ってから早いものでもうすぐ13年の月日が経とうとしている。
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by FHIROSE2 | 2004-08-15 13:23 | Music Man's music | Trackback | Comments(5)

ヤワラちゃん金!

2004アテネ五輪。
日本選手団の先陣を切って、ヤワラちゃんこと谷亮子選手が女子48kg級で金メダルを獲得した。
トレードマークのじゃりん子チエみたいな髪型で、スッピンの谷は優勝が決まると涙を流した。
オリンピックというと、相変わらずテレビの主導で「感動」というフレーズが多用され、いささかうんざりする。
しかし、この放送を観ていた店主は率直に感動した。
ケガを克服して勝ったヤワラちゃんにではない。
この嫁をめとった夫にである。
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by FHIROSE2 | 2004-08-15 02:40 | Trackback | Comments(2)

巨悪

haruhico氏の「社怪人日記2004」から
巨星墜つ

今朝の朝日新聞紙面で、今回のナベツネ辞任に対する関係者のコメントをつらつら眺めていると、実に興味深い。

「残念だ派」 パの巨悪・ツツミ不動産王、福岡ダイエー監督 王貞治

「当然だ派」 豊倉セ・リーグ会長

「俺らには関係ない派」 阪神・野崎球団社長、ダイエー・佐藤球団代表、近鉄・小林球団社長、選手会・立浪副会長

「俺らには関係ない派」は、別名「立場上大喜びするわけにはいかないけど派」とも言う。 最もビミョーなコメントは以下の2つ

「ジャイアンツが、プロ野球の発展を願って取った措置であると思いますので、私たちも新しいジャイアンツに協力していきたいと思います。」
日本テレビ・氏家会長

「俺らには分からないこともあるから」
巨人軍・仁志内野手

氏家会長のコメントは正直意表をつかれて大笑いした。
曲がりなりにも身内の日テレが、読売のドンであるナベツネの辞任に対して「プロ野球の発展を願って取った措置であると思いますので」などと発言していいのか?
思わず口が滑ったか?

仁志のコメントはアタマに「たかが選手の」とつけてくれたら、跳ねっかえりの彼らしくてよかったのに。

合掌
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by FHIROSE2 | 2004-08-14 12:20 | Trackback(1) | Comments(3)

SMILEY SMILE (THE BEACH BOYS)

b0002910_11285186.jpgVarious Review vol. 22
「スマイリー・スマイル」 ザ・ビーチボーイズ
"SMILEY SMILE" THE BEACH BOYS

1967年発表作品
CAPITOL 9001
1964年、精神に変調をきたしたブライアン・ウィルソン(ビーチ・ボーイズ)は、ステージからのリタイアを宣言、ツアーは他のメンバーにまかせて自らはスタジオにこもり、偏執狂的なレコーディング作業に入る。
'66年5月に発表された"PET SOUNDS"は、ブライアンがビートルズの"RUBBER SOUL"に触発されて制作したポップス史上に残る名作である。
しかしキャピトル・レコードは、辛うじてチャートの10位に食い込んだ"PET SOUNDS"を失敗作と断罪し(サーフィン、夏、海、女の子といった、従来のヒット・ソングとはまったくかけ離れた作品となったのだ)、わずか2ヵ月後に過去のヒット・シングルを収めたベスト・アルバムをリリースし、"PET SOUNDS"に対する話題を踏み潰してしまったのだ。
ここから、キャピトルとブライアンとの間に長らく続く確執がはじまった。

'66年秋、当時ザ・バースなどのプロデュースを手がけていたテリー・メルチャーの紹介で、ヴァン・ダイク・パークスと出会ったブライアンは、バンド本体のツアー中、パークスと2人でスタジオにこもり、次回作"SMILE"のレコーディングに入る。
しかし、あまりに壮大になりすぎたレコーディングはブライアン自身にもコントロール不可能となった。
パークスの書くあまりにもドラッギーな詞はビーチ・ボーイズのメンバーたちにあからさまに拒絶され、結局パークスもブライアンの下を去った。
ブライアンの精神状態はますます酷くなり、"SMILE"はその完成を見ることなくお蔵入り。
ザ・フーの"LIFE HOUSE"とならぶロック史上に残る未発表作品となってしまったのだ。

"SMILEY SMILE"は、"SMILE"の制作を断念した傷心のブライアンをバンドのメンバーが支えてレコーディングされ、'67年9月にリリースされた。

右耳の聴力がほとんどないブライアンがこだわったモノラル・サウンド
かなりの曲がドラムレスで、バッキングも非常にシンプル。
このせいで、自然と意識はヴォーカル、コーラス・ワークに向く。
しかし"SMILE"から流用された5曲の中には、非常に凝ったつくりの"Good Vibrations"もあり、サウンド面でも楽しめる。
新作と"SMILE"の曲の肌触りがやや違う感じが否めないが、全体が柔らかい雰囲気に包まれていて不思議な統一感がある。

ブライアン(ビーチ・ボーイズ)が(レコードの上では)海辺から離れ、ビートルズのアメリカ侵攻を視野に入れながら制作した"PET SOUNDS""SMILEY SMILE"は皮肉なことに、セールスとしては必ずしも大成功とは言えなかった。
(評価されるようになったのはもっと後になってからの話)
音楽的には大成功だった自信作がファンからも歓迎されず、レコード会社からも冷たく扱われたこと。
そして"SMILE"の挫折。
ブライアンはさらに精神を病み、ドラッグに溺れ、その後長きにわたって廃人同様の生活を送る。
またグループにとっても、この2作が間接的に低迷の原因になってしまったのは不幸なことだ。

2004年の今年、復活したブライアンが、ツアー・バンドであるten-piece band(ワンダーミンツのメンバーが中心)とニューレコーディングした"SMILE"が発表されるそうだ。
いまだ陽の目を見ていないオリジナル"SMILE"に思いを馳せつつ聴いてみたい。
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by FHIROSE2 | 2004-08-14 12:09 | Music Man's music | Trackback | Comments(0)


1960年代半ばよりちょっと後の生まれ。50ウン年間に溜めこんだ「なにか」を吐きだす場。


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